LODE

CEOインタビュー

CEO

CEO略歴

モハメッド・アル・ジブリール

1976 年に UAE の製錬関係の会社を営む一族の 3 兄弟の次男として生まれ、身体を動かすことが大好きでとにかく負けず嫌いだった。幼少期の夢はサッカー選手だったが、高校を卒業する頃には両親の強い勧めでロンドンの大学に留学し、卒業後はロンドンの製錬会社に就職する。

2007 年に祖父の病状が悪化し母国に戻り、既に家業を手伝っている兄弟のサポートにまわった。
その後、同業最大手の不正問題に危機を感じて奮起するも、業界独特の不正を排除できない壁と戦うさなかに「ブロックチェーン」の存在を知り、世界中を巻き込んで業界を変えられるという確信を持ち、現在は LODE の CEO として業界改革プロジェクトを 2016 年からスタート。

ブロックチェーンの技術を使って安心・安全な金現物取引を可能に

本日はよろしくお願いします。早速ですがインタビューを始めさせていただきます。
単刀直入ですが最初にプロジェクトの内容をざっくり教えていただけますか?

はい。このプロジェクトで金業界は革新的に変わります。 今、変わらなければならいし、変わるチャンスがようやく来たのです。ブロックチェーンの技術を使って金現物の取引からムダと不正を無くし、スマートで安心・安全な取引を可能にするものだからです。

LODEは配当型の金採掘の投資ではありません

私も少し調べてきたのですが金が採掘されると配当が支払われる金投資と同じタイプですか?

よく同じ質問を受けますが全く異なります。
このプロジェクトの話を金に携わった仕事をしていない方にすると、多くの方が配当型の金採掘の投資なんじゃないかと感じて顔を曇らせます。ですが最終的に殆どの方がそうではないと理解し「素晴らしいプロジェクトだね」なんて、応援の言葉までよく頂きます。

金採掘の投資でもなければ、金の配当でもなくこのプロジェクトは、採掘された鉱山、精製された場所、製錬所、金の出所や保管状況などのあらゆる金の情報を、不正の出来ない技術で記録することによって、「世界中の金現物取引における不正とムダを排除して行こう!」という取り組みです。
この取り組みによって「金にまつわる業者」、「金を売買したい人」にとって効率的で誰も損をしないマーケットを構築し、世界中の金業界を大きく変えるプロジェクトです。
だから金採掘による配当を出すものとは全く異なります。

単なる配当型の投資プロジェクトではなく、業界全体を巻き込んだ大きな改革プロジェクトということですね。

はい。みんなが安心・安全に金現物取を可能にするプロジェクトなのです。金業界は昔から闇の部分が非常に多く、様々な違法や不正によってどれだけの企業が苦しんできたか数えきれないほどです。
企業のみならずその家族にまで当然影響がある訳ですから。

不正を拒否した叔父は銃で撃たれました

少し感情が入っているようにも聞こえましたが、もしかしてご家族にも過去に何かあったのですか?

ありましたね。細かい事件を言い出したらキリがないですが、私が一番辛い思いをしたのが 8 歳の頃ですね。
夕方、近くの公園で親戚の叔父と遊んでいた時です。その叔父はものすごく面倒見のいい人で、私の父と母は忙しい人だったので代わりによく遊んでもらっていました。いつものようにサッカーの練習につき合ってもらっていたら、「パン」という何とも言い表せないような、乾いた軽い音と同時に叔父が倒れ込んでしまったのです。何が起きたのか状況も理解できずに叔父に駆け寄ると、苦しそうな顔を見てようやく状況が把握出来ましたね。

銃で撃たれたのですか?

はい。幸いにも少し遠くにいた人が気づいてくれて救助を呼んでくれたので一命は取り留めましたが、今でも叔父は車椅子で生活を送っています。今でこそ治安はよくなりましたが、当時は相当治安も悪くそういった事件は多発していましたからね。

犯人は捕まったのですか?

時間はかかりましたが数か月後には捕まったようです。
どうやら叔父はあるグループの1人から、不正に入手した金を溶解して製錬し、新たなインゴットの製造を持ちかけられていたようです。そしてその依頼を断った事への脅しとして起きた事件だったようです。

武力行使で不正への強要があるのですね・・・

未だにこういった脅迫により強制させる問題は後を絶ちません。

他にも社内の数人とグループが結託して出所不明な金と正しいルートで入手した金を少しずつ混ぜ込んでいき、綺麗な金に洗浄するなんてこともあります。そういった内部の違法に手を出した人間は、違法に利益を得て今度はその事に対し脅迫され、この違法を止めたくても止められない状況に追い込まれていくのです。このような犯罪や不正・違法は業界から全て無くなるべきであり、このプロジェクトでなくす事が出来るのです。

不正が不可能な技術で不正を金業界からなくす

不正を無くす事が可能なのですか?

可能です!ブロックチェーンの技術を使用すれば金を構成する鉱山資源の採掘場所から、製錬所まで全ての情報を記録し、その記録は決して不正に改ざんする事が出来ないからです。 現在は、その金の価値を評価するための機関・団体などが多く存在していて、金をブランドとして認定する基準や監査が 曖昧な為、不正が起きてしまうのです。ブロックチェーンは 過去の情報を決して書換える事ができない為、偽装は不可能 になるのです。

不正が不可能な技術ってすごい。このプロジェクトが浸透すれば本当に業界が変わりそうですね。ところで、いつからこの金業界で仕事をされてきたのですか?

業界で働きだしたのは 20年近く前からです。もともと家業が製錬関係の会社だったということもあり、ロンドンの大学を卒業してそのままイギリスの製錬会社で 10年ほど働きましたが、 10年前に祖父が倒れたのをきっかけに帰国しました。その当時からヨーロッパの金業界でも同じように不正や違法な問題は起きていました。

特定の国や地域による金業界に限られた問題ではなさそうですね。お祖父様の代から営まれているということは、お祖父様は随分と長い間この業界にいるのですね。

そうですね。ドバイは世界有数の金取引センターの一つとして、取引は全体で1,200 トン、金額にして560 億ドルに達するほどの規模です。その中でもこうして永続して続けられる事は容易なことではないと思います。
ここに至るまでも先人の努力と、この仕事に従事してくれた方々の力があってこそだと思います。

祖父においては今もなお、一時は倒れて数週間意識を失ったと人とは思わせないほど元気で (※1)DIDA の会合などにも参加しております。我々兄弟は小さい頃からこの祖父にいろいろな考え方を厳しく教え込まれてきました。

※1
DIDA:ドバイ投資開発事業団
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国経済開発省(Departm ent of Economic Development:DED)の下部組織であるドバイ投資開発事業団(Dubai Investment Development Agency: DIDA)

お祖父様は名士だったのですね?

どうでしょうか。過去には様々な団体に所属し要職も務めていたようですが、その影響で現在も我々、兄弟の加入も強く勧められており、本来なら様々な団体に加入し世界経済の活性化および発展に努めなければならないと感じています。 ただ、祖父は影響力の強い人でしたので、その反面、祖父の事をよく思わない方も中にはいましたね。グループ内の従業員が買収されて会社には内密で、違法採掘の鉱山資源を仕入れて不正な会社に見せかけようと企てられたこともあります。業界に携わる企業だけでなく、そこで働く人々が不正行為に 加担させられる事もあります。

金業界は多くの不正が発生している

金業界はそんなに違法行為や不正が多いのですか?

悲しい事に、本当に多くの不正が発生しています。(※2)
純度を偽った金をつかまされたり、タングステンにメッキ加工されたものだったり、強盗・盗難による殺人も珍しい事ではありません。さらには国家レベルで偽物の金を購入するという被害にあってしまうほどですよ。確かその時の被害が約2億ドルだったと記憶しています。

※2
UAE が偽ゴールドを輸入
UAE に輸入された金(ゴールド)が鑑定をした結果「偽ゴールド」であることが分かった。その損失は 2 億ドルを超える。
http://uskeizai.com/article/159682111.html

2億ドルですか?すごい規模ですね。

そして、過去にもありましたが、ある地域で製錬された金が偽物だったり、違法採掘された金を使用したりという不正が見つかると、その地域の金は全て信用できないものだという風評被害にあうこともあります。1社による不正で数多くの金に携わる業者が、被害にあうのです。だからこそ業界は一団となって変わらないといけないのです。

確かにそうですね。ここまで伺ってきて業界全体を巻き込んで変わらないといけない理由が何となくわかってきました。でもどの業界もそうですが、大手企業まで巻き込むのは難しいようにも思いますが。

そうですね。簡単な事ではないと思います。過去にも不正をなくすための運動や取り組みは数多くありましたが、今現在まで続いているものは殆どありません。

なぜ続かないのですか?

金業界というのは認定機関や団体が数多く存在し過ぎた結果、団体同士が連携しきれていません。団体毎に規定・基準があ っても、それぞれの団体の基準が異なればその規定はあまり 意味を成さなくなります。例えば、とある団体では「金の採掘から全ての経路を明確にしなければ、正しい金とは認めな い」と主張する一方で、「金の経路はあまり気にしないが純度の不正は絶対に許さない」という団体があります。
後者の団体側では金の入手経路が仮に不正であっても、その金自体の価値は変わらない為、認められてしまうのです。 そして、出所不明の資源を使った金であったとしても市場に流通してしまうので、あまり団体毎の規定は意味を成しません。

そうなると確かに続けるのは難しいですね。

そして過去にも何度か統制を試みた動きもありましたが、その団体の要職に誰が就任するかも問題になります。それは、誰かが権限を持つことになれば当然、そこに利権が絡んでし まうからなのです。そのような体制で業界全体の統制を計るのは本当に難しい話だと思います。

確かに権限や権力は問題になりそうですね。

そうなのです。権限や権力というものが一極集中してしまうと、必ず不正の温床となりえるからです。統制を図るた取り組みに参加した業者側のメリットの重要性より、運動を始めた団体自体が利益や利権を得ようと躍起になってしまい、いつしか機能しなくなっているのが現状です。そもそも不透明な部分がある限り、不正が起こり得るのです。

金を購入する側は出所が明らかな本物の金を求めています

結局は誰かが権力を持つことになるので、統率を図り透明化するのは難しいという事ですか?

いいえ。そうではありません。確かに今までは難しく不可能でした。しかし、これだけ世界中で金の不正が起きている時代です。金を購入する側においても偽物の金を掴まされたくはないので、出所が明らかになっている本物の金を求めています。その思いに業界側が応えるためにも、金が製錬されるまでの鉱山資源の入手経路や精製過程、その後の金における取引記録までも、全ての人が閲覧可能になる事で、透明化が実現します。もちろん、この情報は耐改ざん性に優れた構造を必要とします。

LODEでは金の売買時の非常に高額な取引手数料が不要になります

そんな事が可能になるのですか?

はい。まさにそのためのプロジェクトなのです。ブロックチェーンの技術を応用すれば、それらの問題が全て解決できるのです。耐改ざん性に優れた情報で、それぞれ金が誰の所有で、どこで保管されているか全て記録出来るからです。
その結果、わざわざ製錬所から販売店へ輸送して、そこからさらに保管庫まで輸送する必要がなくなります。金は製錬所の保管庫に移動するだけで済むのです。

なるほど。金を購入した人の殆どは保管業者に預けると聞いた事があります。その間の手間も省いてしまおうと言うことですね。

この輸送経路を省けるのは企業規模が大きくなるほどメリットも大きくなります。金の輸送は盗難や強盗の被害にあうなど非常にリスクが高くなるので、高額な保険加入も必要となり輸送コストは非常に高くなります。企業にとって、リスクとコスト同時に下げる事を可能にする事は、非常に大きなメリットでしかありません。

確かに輸送コストが大幅に下げられるのであれば、企業にとってもメリットになりますね。

企業側のメリットだけでなく、製錬所から直接金を買う事が可能になるので、金売買時の非常に高額な手数料が不要になる。製錬所で購入された金はそのまま保管庫で厳重に保管され、その保管状況までもが記録されるので、わざわざ金を輸送する必要がなくなるのです。そうした事で取引手数料を大幅に減らすことが可能になるのです。同じ金を売買するなら取引手数料は少ない方がいいと思いませんか?

間違いないですね。同じ金を買うのであれば取引手数料が安い方がいいですね。

査定機の導入により公平な価格で金現物取引ができます

もちろん、自己保有したい方に関しては輸送することも可能です。直接製錬所からの発送になり今までのように複雑な経路ではないので、その分だけの輸送コストで済みます。
また、多くの方が宝飾品の金を売ろうと思った時、現状は質屋や金買取業者にほぼ言い値で売却されています。なかには市場価格の30% 以下で売却されている方もいます。
市場価格は金相場で決まっているので、純度を調べて重さを計ればおおよその金額は把握出来きます。もちろん市場価格では買い取ってはもらえませんが。しかし、殆どの方は、そういった知識や情報が無い状態で売却するため言い値もしくは言い値プラスα程度の売値になってしまうのです。

私も経験あります。自分の想像をはるかに超える安さだったので、値段交渉しましたが「これ以上は無理」の一点張りで・・・。私もそういった情報を知っていたら・・・。

市場価格を知らなければ、買取店と値段交渉するにも根拠もないので交渉は難しく、殆どの方が言い値で売却してしまい大きな損失となるのは当然ですね。
でも、このような問題も全て解決でき、公平な価格で金現物取引ができるのです。

それなら安心して宝飾品の金を売却できますね。

はい、査定機の導入により可能になります。他にも、このプロジェクトが実現されることによって世界で起きている違法採掘の撲滅のきかっけにもなるでしょう。

LODEの実現によって違法採掘の撲滅のきっかけにもなる

違法採掘の撲滅とは?詳しく教えてもらってもいいですか?

はい、もちろんです。コンゴなどの地域における鉱山では武装勢力による金の違法採掘が行われていて、採掘においては幼い子供まで労働を強いられています。そこでは人体に有害な水銀が使われていて、その水銀は中枢神経を襲い、特に子供には影響が大きく殆どの子供が体のどこかに痛みを感じていると聞きます。この違法労働・違法採掘によって得られた 金が諸外国に売られ、地域内の紛争の資金源となります。我が国も含めて世界各国にこのような金は流通しているのです。

信じ難い現状ですね。ダイヤモンドではそのような話を聞いたことがありますが、金でも同じような事が起きているのですね。

まさにその通りです!ブラッドダイヤモンドは有名ですが、金を含めたタングステン、スズ、タンタルなどの鉱山資源では全く同じことが起きています。この違法採掘された金は、家電や通信機器に使用されるため、世界中の企業でも近年まで使用されていたという事実もありました。
この事実を隠すために、金の様々な機関の認定証や輸入証明書などが偽装されることは珍しくありません。殆どの大企業はこの(※3) コンフリクトミネラルと呼ばれる違法採掘された鉱山資源を使わないという取り組みを行っていますが、厳格な取り締まりが行われているとは言えません。
しかし、このプロジェクトでは全ての金の情報が記録されるので違法採掘された出所不明な鉱山資源を使用することが出来なくなるのです。

※3
コンフリクトミネラル
紛争地域において産出され、鉱物を購入することで現地の武装勢力の資金調達につながり、結果として当該地域の紛争に加担することが危惧される鉱物の総称。
https://www.weblio.jp/content/%E7%B4%9B%E4%BA%89%E9%89%B1%E7%89%A9

なるほど。その違法採掘がこのプロジェクトを始めようと思ったきっかけですか?

きっかけの1つではありますね。それ以外にも、2008 年にエチオピアが南アフリカに輸出入決済のために支払った金塊が全て偽物だったと判明した事件の時に、金業界は一時パニックになりました。この時にもどうにかしなければという思いはありました。

金塊で支払ですか?さらにはそれが偽物だったと・・・

はい。意外に知られていませんが、金は恒常的に国家間で負債の支払いや貿易均衡の保持のため取引時に使用されているのです。金は通貨の下落に対するリスクヘッジにもなるからです。さらには、2009 年に米国が中国に支払った貿易決済のための金塊 5600 本が、全て表面にメッキされたタングステンだった事件の時などこのプロジェクトをはじめる要因になることは数えきれません。しかし、決定的な出来事はカロティ社の・・・。

カロティ社ですか?

2014年の(※4)カロティ社の事件の時ですね。結果的には公にはなりませんでしたが、業界最大手のひとつとも言える会社が、出所不明の金を大量に購入していたのではないかと言われています。その入手経路は記録に残っていないために未だに非公開のようですが、UAEで製錬される全ての金が信頼のないものになりかねない事件だっただけに、業界全体を震撼させた事件でした。

※4
カロティ社が監査によって不正発覚
監査会社アーネスト&ヤング元社員「監査の途中で深刻な事実を発見しました。たった 1 社がわずか 1 年で 52 億ドルもの現金による取引をしていました。さらに金メッキがなされた銀塊が、4 ~ 5 トン、モロッコから密輸され、ドバイで金として申告されていました。そして扱っている中に出所が怪しい金がたくさん含まれていることもわかったのです。」
http://www.xn--l8ji6b8dbd9a6a7e0hd.com/article/391803326.html

業界の大手がそのような不正をするのですか?

不正の疑惑があがっただけなので、実際にしていたかはわかりません。これまでに、不正や違法など様々な問題や事件は数多くありましたが、問題が起きる度に私も含めて業界全体は「またか」と感じるようなっていて、悪い意味で慣れてしまっていました。この業界に不正や違法の問題はつきものだし、一生ついて回る問題だと半ばあいきらめていて自分自身も目を瞑ってやり過ごしていました。

この事件は今までの問題と違ったのですか?

これまでに起きてきた様々な問題や事件は殆どが業界内で起きているものでした。しかし・・・今回の事件はかなりの大手企業だったこともあり、業界のユーザーからの信用を根底から揺るがし兼ねない大事件でした。実際にその後、ドバイにおける金業界の取締機関である(※5)DMCC が監査会社に依頼していた報告書の要求を取り消したほどです。
監査規定が変更されると言うのは前代未聞です。

※5
DMCC(Dubai Multi Commodities Center)は、ドバイ政府の戦略的イニシアチブとして 2002 年に設立され、ドバイをグローバル商品取引の拠点として確立するために必要な物理的、市場的および財政的インフラを提供する義務を負っています。
2016 年時点で所属する会員企業は 13,000 社以上になります。
DMCC のフリーゾーン(自由貿易地域)は 2015 年から2年連続で世界のベストフリーゾーンを受賞しています。(パナマ政府の自治体機関であるコロン・フリーゾーンの会員数は 2,000 社 )
https://www.dmcc.ae/

監査規定が変更だなんて余程の出来事だったのですね

もし、監査結果の報告書が表に出て、不正が発覚したら・・・世界の金取引の 25%が行われているドバイの業界に与える影響がどれほどのものか想像もつきません。DMCC がそういった思いもあって規定を変更したのかもしれませんが、今でもあの事件で違法採掘の金は使われていなかったと信じたいです。

事の大きさが伺えます。本当に大変な状況だったのですね。

本当に大変でした。数ヶ月の間は殆どの業務や流通も止まりこの状態が、もう数ヶ月続いたら間違いなく会社が破綻するという、最大の危機でした。その状況下で兄弟が団結し、毎晩遅くまで話し合い、何とか最悪の事態は免れることができました。ただ今後、金業界が変わらなければ私も含め一族も、金業界にも明るい未来は無いと確信しました。
この事件までは業界の集まりや団体の会合などは全て兄弟に任せていましたが、この事件をきっかけに、業界内での情報が少なすぎると感じ、私も自ら(※6)WGC などの会合にも積極的に足を運ぶようになりました。

※6
WGC(World Gold Council)
世界の主要な金鉱山会社によって構成される非営利団体。 世界の金市場の育成と発展を目的として、1987 年に世界の主要な金鉱山会社 40 社がメンバーとなって設立された。
https://www.gold.org/

何故それまではご兄弟に任せていたのですか?

私がロンドンから戻ってきた時には既に兄は統括マネージャーという立場で経営幹部として活躍していました。また、弟においては会計士の資格を生かして、会社の経理やキャッシュフローなどは全て把握していました。
既に二人の兄弟が活躍していたので、私はもともと得意では無いのですが、好きというか興味があった情報処理の分野に行かせてもらうために、システム部に配属され一から仕事を学んでいきました。専門分野の事や社内システムにおいて学ぶことが多かったこともあり、既に要職についていた二人の兄弟に経営は任せていました。

なるほど。そういったいきさつがあったのですね。 そして、情報処理の技術を生かしてこのプロジェクトとなった訳ですか?

そうですね。簡単に言えばおっしゃる通りの流れです。ただ、このプロジェクトに至るまでにもたくさんの失敗と苦労はし ました。社内の統制を計るためのシステムは可能であっても、結局は自社だけの規制ではどうすることも出来ないと言うのが現実でした。協力会社や他社までも巻き込んで業界全体を 統率できるシステムにはできなかったのです。
そんな中 WGC の会合に参加した時に、他業種の団体の話でブロックチェーンという技術の存在を知りました。

その時がブロックチェーンとの出会いだったのですね

はい。すぐさま情報を社内に持ち帰り、フィンテックの技術に長けたスタッフがいたので、彼を中心にして部署全体で技術検証および調査に取りかかりました。
元々彼は数年前まで金融機関のシステムを開発する会社にいたので、こういった分野への取り掛かりには非常に大きな戦力となり、現在では、このプロジェクトの技術責任者を担っています。

有能なスタッフが身近にいらしたのですね。

はい。彼がいたおかげで直ぐさま行動に移せました。彼を中心にブロックチェーンについて様々な方面から調査・解析を進めて行くうちに、やりたかった事、実現したかった事が全て出来る技術だという事が、徐々に確信へと変わって行きました。まさに金業界を変えることの出来る技術との出会いだったので、やがて大きな使命感も感じるようになりました。兄弟にも一から説明をし、このプロジェクトチームが立ち上がるまでに時間はかかりませんでした。そうした経緯もあって、このプロジェクトを進められるのは兄弟の中でも私が適任だという事になったのです。

ブロックチェーンとの出会いがプロジェクトの始まりだったわけですね。今後の展望は?

私自身、一族にもこれまでにたくさんの迷惑をかけてきましたが、2014 年の出来事を境にはじまったこのプロジェクトで、金業界をよりよい道へ導くことが恩返しであり私の使命だと思っております。事実、(※6)WGC、(※7)BMR、(※1)DIDA の方々からも賛同を頂いておりますので、今後は世界各国の企業・団体とも連携しよりよい金現物取引が行われるように改革を進めていきます。

※7
BMR は、主に中東リサイクル産業のすべてのサプライヤー / トレーダーを代表する非営利団体、非宗教団体、非政治団体として形成され、メタルリサイクリングを推進する統一された考えを持ち、中東のビジネス、環境保護、金属リサイクルに関する市場情報の共有する、中東リサイクル産業の団体です。
http://www.bmr.ae/index.php

私自身もこのプロジェクトが成功し業界が変わることを心より楽しみにしています。本日はお忙しいところありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。